将棋用語『余す』 ~ 最後の差で勝利を掴め ~
将棋と囲碁が大好き
先生、「余す」という将棋用語はどういう意味ですか?
将棋と囲碁が大好き
最後に少しの差で勝ちになることを言うんだよ。残すとも言うね。
将棋と囲碁が大好き
「最後に」というのは、相手に勝ち越すということですか?
将棋と囲碁が大好き
そうだよ。終盤でわずかに有利な局面のことだね。
余すとは。
将棋では、「余す」とは、相手よりわずかな差で勝利を収めることを意味します。別名「残す」とも呼ばれます。
『余す』の由来と意味の変遷
将棋用語の「余す」とは、組み合わせの一手が余っている状態を指します。駒が取られたり、詰んだりして負ける寸前の局面で、ギリギリのところで勝機を見出すことを意味します。この「余す」という言葉は、もともと平安時代にゴモクナラベの必勝法として使われていました。しかし、時代が進むにつれて将棋にも取り入れられ、必死に最後まで戦い抜く意味合いが強くなっていきました。
『余す』と『残す』の違い
「余す」と「残す」は一見似た言葉ですが、将棋用語としては微妙なニュアンスの違いがあります。「余す」とは、一手残した状態で勝利することを指します。つまり、相手にはまだ一手残っているにもかかわらず、自らが先に手詰めに追い込むことで勝利を収めることです。一方、「残す」とは、相手にまだ手が残っている状態のまま勝利することを指します。自分の手はすべて指し終えているものの、相手にはまだ一手以上残っている場合に勝利することです。
実際の対局で『余す』が使われた例
実際の対局で「余す」が使用された例
「余す」は、棋士の間でよく使われる重要な将棋用語です。それは、対局の終盤において、駒を無駄遣いせずに最後の差で勝利を収めることを意味します。実際の対局で「余す」が使用された有名な例の一つが、1989年の竜王戦第5局です。当時の竜王・谷川浩司と挑戦者・羽生善治の対戦で、谷川竜王が中盤で優位に立ちましたが、終盤で羽生九段が果敢な攻めを仕掛けました。谷川竜王は、ここで冷静に「余す」の戦法を用い、僅差で勝利を収めました。この対局は、将棋における「余す」の重要性を示す象徴的な例として語り継がれています。